補体
https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/0818.html
古典経路/第二経路/レクチン経路
・古典経路
免疫複合体により活性化(獲得免疫)
・第二経路
免疫複合体を必要とせずC3から直接活性化する経路(自然免疫)
・免疫複合体の分解
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1402223341
血中に存在する補体がIC(免疫複合体)と反応すると複合体上に補体分解産物のC3bを結合・発現する.C3bやC3dはICが他の免疫グロブリンと架橋するのを防ぎ,かつ複合体の中に入り込みサイズを小さくし可溶化する.大きなICも可溶化され,赤血球の補体レセプター(CR1)によって補体部分を捕捉され血漿中より吸着される.赤血球上のICは肝臓や脾臓に運ばれ,そこでⅠ因子の作用によって赤血球から解離されFcレセプターや補体レセプターを有する単球,樹状細胞,マクロファージ,肝Kupffer細胞などによって貪食され処理される.
<低補体血症>…欠損、消費亢進
・全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群
C2欠損は最も多くみられる ヒト補体欠損症でありClq C2.C4欠損症患者の 50%以上はSLEを発症する。補体活性化が欠損しているために免疲複合体の除去が不十分であることに関係している可能性がある。免疫複合体が循環系から除去されないと,血管壁や組織に沈着し,Fc受容体依存的経路により白血球を活性化して局所炎症を引き起こす。
SLEでは古典的経路の活性化が主に生じるので、疾患の活動性に伴いC3、C4、CH50の低下、回復期の上昇がみられる。但し、C4については欠損していることがしばしばあり、その場合は疾患活動性に関わらず低値である。
時にシェーグレン症候群でも免疫複合体上昇や低補体血症がみられることもある。
・一次性膜性増殖性糸球体腎炎(menbranoproliferative glomerulonephritis:MPGN)
一次性MPGNは30台までの若年者に発症する腎疾患で、I型(内皮下沈着),II型(糸球体基底膜内沈着、Dense deposit disease:DDD),III型(内皮下および上皮下沈着)の3型に分けられる。
近年Ⅰ型、Ⅲ型の中に免疫グロブリンの沈着を認めず、C3の沈着のみを認める場合があり、C3転換酵素に対する自己抗体(C3 nephritic factor:C3NeF)により、持続する第二経路の活性化を伴っていることが判明した。従来からDDDも第二経路の活性化が原因であることも知られており、これらを合わせてC3腎症(C3 grolerulopathy)という概念が提唱されている。
MPGNは免疫複合体が関与するものは古典的経路活性化に伴いC3、C4低下がみられる。一方で第二経路活性化によるものはC3低下が主体となる。
・補体価が上昇する疾患
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/5/97_948/_pdf
感染症,関節リウマチ(ただし,悪性関節リウマチでは低値をとる),血管炎症候群などでCH50 高値を示す.C9 など補体蛋白には急性期蛋白が含まれることが理由の 1 つ
と考えられる.炎症性疾患や悪性腫瘍で上昇し、疾患特異性はなく臨床上の有用性は低い.少なくとも,補体蛋白異常としての鑑別をすすめる必要はなさそうである.